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ハーレム・ドラッグ第四章―1
 あの氷室恵美とスカーレット・イーターとの戦いから、一週間ほどが過ぎた。
 といっても、俺はこの一週間ずーっと眠り続けていたのだが。
 肉体のダメージは玲子先生の治癒能力で治ったけど、『干渉と改変の蛇』や『疑似ウロボロス』を使った事で精神的なダメージが大きかったせいらしい。

 目を覚ました時には、俺は奇天烈な道具が大量に転がっているあの部屋に居たままだった。
 側にいたのはあの白銀の少女で、俺の寝汗を拭き取ってくれていた。

 当然のように俺の胸ははだけていた訳で。
 お約束の如く、そこへ風那と空那と玲子先生と百合香が登場して。
 少々すったもんだが有ったのだが、その辺は割愛させてくれ。
 ・・・うん、まぁ、色々だ、察してくれ。
 で、この一週間、全員この研究室で寝泊まりして俺を看病してくれていたそうだ。
 ありがたい話だぜ。

 その時に、風那たちに遅れて一人の女性が入って来た。
 白銀の少女と同じ、白銀の髪と瞳を持つ女性だった。けど、俺には見覚えがなかった
 それもその筈。
 驚いた事に、彼女こそがあの氷室恵美だったのだ。

 何でも、失った内臓を人造人間・ホムンクルス(白銀の少女もそのホムンクルスだと教えられて更に驚いた)用の特殊な人造細胞で、新しく作ったのだとか。
 彼女の入れられた水槽に投げ込んだ、プニョプニョした色とりどりのこぶし大の固まりが人造細胞の元で、臓器ごとに色が違うそうだ。
 実に凄い代物だが、普通の人間には使えないらしい。人造細胞と肉体が拒絶反応を起こしてしまうんだとか。
 彼女の場合は、スカーレットの影響で肉体が強化されていたからこそ使えたんだと。

 今の彼女の体は、白銀の少女とほぼ同じホムンクルスの体になっていた。
 ただ、その副作用で髪と瞳が白銀になってしまった。
 副作用はそれだけではなく、彼女は記憶まで失ってしまっていた。
 氷室恵美として生きた記憶も、スカーレットと共に生きた記憶も彼女から失われた。
 自分の家族を殺してしまった事も。
 玲子先生たちは相談して、彼女の過去は知らない事にしたそうだ。
 俺もその方がいいと思い、それに賛同した。
 思い出さない方がいいよな、こんな事。

 ま、白銀の少女が言っていた通り、命だけは助ける事が出来たって訳だ。
 ただ、彼女は俺を命の恩人と思っているらしい。
 記憶が無い筈なのに、俺の顔はおぼろげに覚えているそうだ。
 まぁ、凄い美人さんですよ?
 玲子先生に負けず劣らずの大人の色気を垂れ流してますよ?
 俺に助けてくれた礼をしようとするのも納得は出来ますよ?

 ですが、お願いですから皆の前で俺にべったりとくっつかないで下さい。
 いや、嬉しいですよ?
 でもね、股間がヤバクなるのは勿論の事、皆の視線がとってもヤバイ事になって命の危険を感じますので。
 ・・・そんなこんな有った訳だが、彼女は当面、白銀の少女と一緒にこの研究室で暮らす事になったそうだ。

 この研究室は改変薬を作った俺の先祖、後藤文十郎(ごとう ぶんじゅうろう)って人が作った所で、何と爺さんの屋敷の地下に有るんだと。
 屋敷の敷地面積いっぱいに広がっている、巨大な地下室だ。
 俺は白銀の少女に、文十郎さんの写った古い写真を見せてもらった。
 予想通り、蛇を発動した時に脳裏に現れたあの男だった。
 この地下錬金研究室、ホムンクルス、ヒヒイロカネ、そして改変薬を作った錬金術師。
 きっと、天才ってやつだったんだろうな。

 さて、皆に状況説明しなきゃならんと思っていたのだが。
 俺が眠っている間に、白銀の少女が改変薬が原因であろう今回の騒動を皆にに大体説明してくれていたお陰で、俺が頭を悩ます必要は無くなっていたのだが・・・。
 改変薬の事も説明済みで、正直、俺は皆の反応がちょっと怖かった。
 だって、俺に好意を抱いたのが改変薬の力だったって事がバレちまったんだから。
 もしかしたら、一斉に非難されるんじゃないかってさ・・・。

 けど、それはいらない心配だった。
 皆、口々に言うんだよ、そんな事は関係ない、私たちは自分の意志で俺を好きになったんだって。
 不覚にも泣きそうになっちまったよ。何とか誤魔化したけどな。

 本村さん一家の方も救急車に無事保護されて、事無きを得たそうだ。
 これについては心底ホッとした。
 俺のトラブルに巻き込んじまったようなもんだからな。
 俺たちの事に関しては、百合香が連絡してうまく誤魔化してくれたそうだ。

 さて、これからどうするかが問題だ。
 学校の方はもうすぐ夏休みに入るんで、そのまま臨時休校続行だ。
 その反面、授業が遅れた分宿題がそれはもうトンでも無い事になりそうだと玲子先生が言っていた。
 ・・・とりあえず、忘れておこう。今はそれどころじゃないしな、ウン。

まず、アパートに行って秘本を回収しなきゃならん。これが現状、最優先にしなきゃならない事だろう。
 アイシャ達はアパートまでは見つけていないみたいだったけど、時間の問題だろうし。
 俺がその事を言うと、全員俺と一緒に行くと言うのでちと困った。
 ボディガードをするつもりだろうけど、いくら何でも目立ちすぎるって。
 ここで、白銀の少女がある物を持ち出してきた。

「何だいこりゃ?」
「人造細胞で作られた、変装用の面です」

 ブニョブニョの肉のような物で、大きさは直径二十センチ、厚みが五ミリほど。その表面は鏡そのものと言っていい位にツルツルで、周りの景色を映している。
 手に取ってみると、見た目と違って凄く手触りがいい。シルクのような触り心地というか、ずっと触っていたくなる気持ち良さだ。

「それを顔に貼り付けて、・・・では、文十郎様の写真を見て下さい」

 言われた通りにすると、鏡の様な肉は顔にペタッと吸い付くように張り付いた。
 文十郎さんの写真を見つめると、何やら張り付いた肉がグニョグニョと動いたのが分かった。

「わあ、凄い! 写真の人と同じ顔!」

 皆が驚く中、先生が化粧用の手鏡で俺の顔を見せてくれた。
 鏡の中に、文十郎さんがいた。

「・・・こりゃ凄い、某大泥棒も真っ青だぜ」
「これで正体がばれる可能性は低くなったでしょう。ただ、これは六時間ほどしか持ちません。それを過ぎると元に戻ってしまいますので注意して下さい」
「六時間か、分かった」

 壁に掛けられた鳩時計(何故か振り子が上に出て揺れている)を見ると、今は午前八時過ぎ。
 爺さんの屋敷からアパートまでは、バスで二十分もあれば着く距離にあるから十分だ。

「ところで、此処へはどうやって出入りしてるんだ?」
「これを使って下さい」

 手渡された物は、この研究室に転移する時に白銀の少女が使っていた、ジッポーライターのような白い箱だ。
 不思議な光沢を持った金属製で、真ん中に蝶番と切れ目があり、二つに折れるようになっている。

「それを折ると、中から転移情報を刻んだ流体の人造細胞が出てきます。自動的に運んでくれますから、何も心配はいりません」
「そっか。で、出る時は何処に出るんだ?」
「屋敷の近くにある、稲荷明神はご存じですか? そこの裏手にある林の中に出るようになっています」
「ああ、知ってる知ってる。あそこなら人目に付きにくいからちょうどいいな」

 爺さんの屋敷近くに、お稲荷さんの小さな祠があったのを思い出した。
 昼でも少し薄暗く、ちと不気味な雰囲気なんであまり近付く人もいない場所だ。

「それから、これもお持ち下さい」
「これは?」

 次に彼女が手渡したのは、タバコの箱サイズの小箱だった。
 これも金属製だが、こちらは黒くて、凄く軽い。
 広い面の片方に、ダイヤルのような物が付いている。

「今風に言えば、携帯電話のような物です。中心のつまみを回すと、私が持っている物と連絡が取れます」

 そう言うと、白銀の少女は胸元から同じ小箱を取り出した。
 まったく同じ物に見える。

「へええ。ちょっと実験、もしもし?」

 俺はつまみを回して小箱に声を掛けてみた。

『ちょっと実験、もしもし?』

 おお、もう一つの小箱から俺の声が!

「こちらの声も届きます。何かあったらすぐにご連絡を」

『こちらの声も届きます。何かあったらすぐにご連絡を』

 彼女が自分の小箱を口元に持っていって喋ると、俺の小箱から声が出てくる。
 携帯っていうより、トランシーバーだな。
 それにしても明治時代にこれだけの代物を作るとはなぁ。
 やっぱ天才だわ、ご先祖様は。

テーマ:創作官能小説連載
ジャンル:アダルト
コメント
ハーレム拡大か!?w
もう、そんだけいるなら
私に一人くらいよこっせって言いたくなりますなww
2009/05/14(Thu) 22:32 | URL | ヒデ | 【編集
コメントありがとうございます
>>ヒデ さん
>>一人くらい
ふふふ、それは書いてる本人が一番思っていることでありますw
現実にある女っ気なんて、家族ぐらいなもんですよ。

あれ、おかしいな、目から水がw
2009/05/15(Fri) 10:37 | URL | HEKS | 【編集
お久しぶりです^^
ちょっと忙しくて見に来る時間がなかったのですが、
久々に来てみたら四章突入^^

やはり、フラグ回収しやがったかw

まったくラノベの主人公に匹敵するフラグ達成率はうらやましい限りですねw


これからもがんばってください。
ではまた
2009/05/15(Fri) 21:41 | URL | sk | 【編集
どうも~更新お疲れ様です。
さて新章スタートしましたね。
今回は前回までの後片付けと今後についてかな?
恵美…あれ?なんか私が前に予想した赤ちゃんの今後がこんな感じだったような?
体は大人、頭は子供的な…
会話はでてないから何ともいえませんが。
また改変薬の効果暴露しましたがあっさり終了…玲子は何かあるかと思ってましたが。
さらに便利道具続々登場…ホムンクルス少女が○ラえもんに見えたのは私だけ?
それでは~
2009/05/16(Sat) 02:19 | URL | ソウシ | 【編集
コメントありがとうございます
>>sk さん
お久しぶりです。
フラグ達成率はロマンですw
ハーレムはドリルと同じか、それ以上のロマンが詰まっているのですw
ただし男限定ですがw

>>ソウシ さん
恵美は頭の方も大人ですw
純粋に記憶喪失なのです。
玲子に関してはこれからの予定。

便利道具は、失敗作の方が多かったりしますw
酒を注ぐとアルコール分が飛ぶ徳利とか(酒じゃなくなるw)。
どんな暗闇でも見る事が出来るが、星の光でも直接見ると失明する超強力暗視スコープとか(危険すぎて使えないw)。

2009/05/20(Wed) 11:00 | URL | HEKS | 【編集
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