2008年04月06日 (日)
カーテンの隙間からこぼれる朝日が顔に当たり、俺はゆっくりと眼を覚ましていった。
耳にはトントントン、と小気味良い音が聞こえてきて、鼻をくすぐるのは味噌汁の匂い。
目を擦りつつ、音の方を見た。
「ん・・・」
「あ、孝一兄ちゃん、起きた? おはよー」
「おはよう、孝一お兄ちゃん。もうすぐご飯できるからね」
狭い台所で、空那と風那が朝メシを作っているようだ。
(ああ、そっか。昨夜、二人と散々Hしてそのまま寝ちまったんだっけ)
耳にはトントントン、と小気味良い音が聞こえてきて、鼻をくすぐるのは味噌汁の匂い。
目を擦りつつ、音の方を見た。
「ん・・・」
「あ、孝一兄ちゃん、起きた? おはよー」
「おはよう、孝一お兄ちゃん。もうすぐご飯できるからね」
狭い台所で、空那と風那が朝メシを作っているようだ。
(ああ、そっか。昨夜、二人と散々Hしてそのまま寝ちまったんだっけ)
徐々に意識が覚醒するにつれ、昨夜の事をはっきりと思い出していく。
一体、何回シタのやら・・・。
空那が終われば風那が、風那が終われば空那が、と次々に『おねだり』してくるんだもんなぁ。正直、よくもったと自分でも感心する。
最後の方は三人で抱き合ったまま、疲れ果てて寝ちまった。
どれ、体の方は・・・筋肉痛にもなっていないし、疲れも残っていない。我が体ながら大したもんだ。
ついでに、朝起ちも元気良くしている。うむ、絶好調。
出来た朝食は、焼き魚、おひたし、味付け海苔、豆腐とワカメの味噌汁にホカホカの白いご飯。
・・・感動した!
今まで自分が作ったメシと言えば、朝からレトルトカレーや、レトルトの牛丼だったりしたからな~。
米の方も、前日に忘れて炊いてなかった時は、レンジでチンのパックの奴で済ませてた。
純和風の献立に思わず目頭が熱くなって、天を仰いじまったぜ。
「お兄ちゃん、箸を握り締めてどうしたの?」
「見ただけで美味そうだから、感動に打ち震えている」
「ふふっ、大げさだなぁ。そんなに難しい料理じゃないよ?」
実際、味の方は文句の付け所がなかった。
確かに料理としては簡単な物かもしれないが、今までの自分の食生活との違いと、何より自分を好きだと言ってくれる女の子が作ってくれたメシだ。
不味い訳がねーよな。
朝飯を堪能して食後のお茶を飲んでいる時に、気になっていた事を二人に聞いてみる事にした。
時間はまだ余裕がある。
「ところでさ、二人に聞きたかったんだが」
「「うん? 何?」」
二人一緒に見事なシンクロ率、さすが双子。
「俺を好きになった理由って、何なんだ? あまり心当たりがないんだが」
二人が顔を見合わせて、何やらアイコンタクト。
俺に向き直り、先に口を開いたのは風那だった。
「あのね、孝一お兄ちゃんが私たちにお勉強見てくれた事があったでしょ」
「ああ、あったなぁ」
大家さんの頼みで勉強を見たのが、二人と知り合った切っ掛けだったな。
「その時、私がお兄ちゃんの間違いを指摘した事があったでしょ?」
「ああ、あったあった」
風那は頭良いからなぁ。多分、今すぐ高校生になっても通用するだろう。もしかしたら一気に大学生も可能かもしれない。
「孝一お兄ちゃん、それで笑って感心してくれたから・・・それが理由」
「ふむふむ、なるほど。それが理由か・・・なぬ?」
笑って感心したから? それだけ?
「そ、そんな事が理由?」
「うん・・・」
「うーん、その先は私から説明するよ」
「空ちゃん・・・」
何だか沈み込んだ風那をフォローするように、空那が口を挟んだ。
「お姉ちゃんね、小学生の頃、クラスの中でちょっと仲間外れにされてたの」
「小学生の頃に?」
「うん。その時の担任の先生が、お姉ちゃんをえこひいきしちゃってさ。テストとかの度にお姉ちゃんとクラスメイトを比べたり、問題の分からない生徒をお姉ちゃんに教えさせたりして・・・」
・・・なるほど、だんだん読めてきた。
「それで、クラスの子たちにやっかまれた・・・って事か?」
「そ。お姉ちゃんは何も悪くなかったのにさ、クラスの子達がお姉ちゃんから離れて行っちゃって・・・。元々お姉ちゃんって大人しかったけど、お蔭で輪を掛けて大人しくなっちゃったんだよ」
「・・・そっか・・・嫌な思いしちまったな、風那」
俺は隣に座っていた風那の頭を撫でた。
ちょっと泣いてるな・・・無理もない。
只でさえ大人しい風那がそんな目にあえば、そりゃ積極性も薄れるよな。
「それで、孝一兄ちゃんに教わってた時に思わず間違いを指摘して、『嫌われるっ』って思ったんだって」
「・・・でも、孝一お兄ちゃんは『お~、凄いな風那ちゃん。頭いいじゃん!』って笑って褒めてくれた。私、他人に勉強を教えて笑顔で褒められたの、小学校のその先生以外で初めてだったの」
空那の言葉を、顔を上げた風那が継いだ。
風那はもう泣いていなかった。
「その時から、私の中で孝一お兄ちゃんがドンドン大きくなっていったの」
「お姉ちゃんてば、それ以来する話といったら孝一兄ちゃんのことばっかり! 好きな食べ物は何かなとか、好みの女の子はどんなタイプかな、とか!」
「く、空ちゃあん!」
風那は顔を真っ赤にして、胸の前で両手を握り締めて恥ずかしがっている。
なるほど、風那に関しては分かった。
じゃあ、空那は何でだ?
「私の場合は・・・孝一兄ちゃん、優しいから、かな」
「そ、そうか?」
「勉強を見てもらった後、そのお礼にって夕食を作ったでしょ?」
「ああ、あったな。あれも美味かったぜ」
あの時もカレーハンバーグだったな。
カレーは普通に美味かった。・・・カレーの方は、な。
「ハンバーグの方はダメだったのに?」
「ぐっ?」
空那がジト目で俺を見ている・・・あらぁ、もしかしてばれてたか?
「ハンバーグに入れるコショウの分量とか、お塩と砂糖とか、見事に間違えてたんだよね、私・・・」
はい、ばればれですね。
そう、風那の作ったカレーは美味しかったのだが、空那の作ったハンバーグの方はお世辞にも美味しいとはいえない代物だったのだ。
カレーの味で誤魔化して何とか食ったが、あれを単品で食えと言われたら俺は胃腸薬を横に置いて食うだろう。
事実、二人が帰った後で俺はトイレに一時間以上篭ることになったんだ。
「味見をしなかった私の失敗だけど、残ったお肉を持ち帰って、家でハンバーグ作ってお姉ちゃんと二人で食べたら暫く身動きできなかったもん」
「うん、結構キツかったね・・・」
「は、ははは、そっか・・」
単品で食ったらそりゃそうだろうなぁ・・・。
「ベタだけど・・・、あんなのを美味しい美味しいって食べてくれた。孝一兄ちゃんって優しいんだなって思った・・・兄ちゃんを意識し始めたのは、それから、だね」
うん、ベタベタだな。今時こんな事、恋愛シミュレーションゲームでもそうそう使われないだろう。
でも、切っ掛けなんて些細なもんだ。
ベタな展開。それが空那にはツボだったのかも知れないな。
一体、何回シタのやら・・・。
空那が終われば風那が、風那が終われば空那が、と次々に『おねだり』してくるんだもんなぁ。正直、よくもったと自分でも感心する。
最後の方は三人で抱き合ったまま、疲れ果てて寝ちまった。
どれ、体の方は・・・筋肉痛にもなっていないし、疲れも残っていない。我が体ながら大したもんだ。
ついでに、朝起ちも元気良くしている。うむ、絶好調。
出来た朝食は、焼き魚、おひたし、味付け海苔、豆腐とワカメの味噌汁にホカホカの白いご飯。
・・・感動した!
今まで自分が作ったメシと言えば、朝からレトルトカレーや、レトルトの牛丼だったりしたからな~。
米の方も、前日に忘れて炊いてなかった時は、レンジでチンのパックの奴で済ませてた。
純和風の献立に思わず目頭が熱くなって、天を仰いじまったぜ。
「お兄ちゃん、箸を握り締めてどうしたの?」
「見ただけで美味そうだから、感動に打ち震えている」
「ふふっ、大げさだなぁ。そんなに難しい料理じゃないよ?」
実際、味の方は文句の付け所がなかった。
確かに料理としては簡単な物かもしれないが、今までの自分の食生活との違いと、何より自分を好きだと言ってくれる女の子が作ってくれたメシだ。
不味い訳がねーよな。
朝飯を堪能して食後のお茶を飲んでいる時に、気になっていた事を二人に聞いてみる事にした。
時間はまだ余裕がある。
「ところでさ、二人に聞きたかったんだが」
「「うん? 何?」」
二人一緒に見事なシンクロ率、さすが双子。
「俺を好きになった理由って、何なんだ? あまり心当たりがないんだが」
二人が顔を見合わせて、何やらアイコンタクト。
俺に向き直り、先に口を開いたのは風那だった。
「あのね、孝一お兄ちゃんが私たちにお勉強見てくれた事があったでしょ」
「ああ、あったなぁ」
大家さんの頼みで勉強を見たのが、二人と知り合った切っ掛けだったな。
「その時、私がお兄ちゃんの間違いを指摘した事があったでしょ?」
「ああ、あったあった」
風那は頭良いからなぁ。多分、今すぐ高校生になっても通用するだろう。もしかしたら一気に大学生も可能かもしれない。
「孝一お兄ちゃん、それで笑って感心してくれたから・・・それが理由」
「ふむふむ、なるほど。それが理由か・・・なぬ?」
笑って感心したから? それだけ?
「そ、そんな事が理由?」
「うん・・・」
「うーん、その先は私から説明するよ」
「空ちゃん・・・」
何だか沈み込んだ風那をフォローするように、空那が口を挟んだ。
「お姉ちゃんね、小学生の頃、クラスの中でちょっと仲間外れにされてたの」
「小学生の頃に?」
「うん。その時の担任の先生が、お姉ちゃんをえこひいきしちゃってさ。テストとかの度にお姉ちゃんとクラスメイトを比べたり、問題の分からない生徒をお姉ちゃんに教えさせたりして・・・」
・・・なるほど、だんだん読めてきた。
「それで、クラスの子たちにやっかまれた・・・って事か?」
「そ。お姉ちゃんは何も悪くなかったのにさ、クラスの子達がお姉ちゃんから離れて行っちゃって・・・。元々お姉ちゃんって大人しかったけど、お蔭で輪を掛けて大人しくなっちゃったんだよ」
「・・・そっか・・・嫌な思いしちまったな、風那」
俺は隣に座っていた風那の頭を撫でた。
ちょっと泣いてるな・・・無理もない。
只でさえ大人しい風那がそんな目にあえば、そりゃ積極性も薄れるよな。
「それで、孝一兄ちゃんに教わってた時に思わず間違いを指摘して、『嫌われるっ』って思ったんだって」
「・・・でも、孝一お兄ちゃんは『お~、凄いな風那ちゃん。頭いいじゃん!』って笑って褒めてくれた。私、他人に勉強を教えて笑顔で褒められたの、小学校のその先生以外で初めてだったの」
空那の言葉を、顔を上げた風那が継いだ。
風那はもう泣いていなかった。
「その時から、私の中で孝一お兄ちゃんがドンドン大きくなっていったの」
「お姉ちゃんてば、それ以来する話といったら孝一兄ちゃんのことばっかり! 好きな食べ物は何かなとか、好みの女の子はどんなタイプかな、とか!」
「く、空ちゃあん!」
風那は顔を真っ赤にして、胸の前で両手を握り締めて恥ずかしがっている。
なるほど、風那に関しては分かった。
じゃあ、空那は何でだ?
「私の場合は・・・孝一兄ちゃん、優しいから、かな」
「そ、そうか?」
「勉強を見てもらった後、そのお礼にって夕食を作ったでしょ?」
「ああ、あったな。あれも美味かったぜ」
あの時もカレーハンバーグだったな。
カレーは普通に美味かった。・・・カレーの方は、な。
「ハンバーグの方はダメだったのに?」
「ぐっ?」
空那がジト目で俺を見ている・・・あらぁ、もしかしてばれてたか?
「ハンバーグに入れるコショウの分量とか、お塩と砂糖とか、見事に間違えてたんだよね、私・・・」
はい、ばればれですね。
そう、風那の作ったカレーは美味しかったのだが、空那の作ったハンバーグの方はお世辞にも美味しいとはいえない代物だったのだ。
カレーの味で誤魔化して何とか食ったが、あれを単品で食えと言われたら俺は胃腸薬を横に置いて食うだろう。
事実、二人が帰った後で俺はトイレに一時間以上篭ることになったんだ。
「味見をしなかった私の失敗だけど、残ったお肉を持ち帰って、家でハンバーグ作ってお姉ちゃんと二人で食べたら暫く身動きできなかったもん」
「うん、結構キツかったね・・・」
「は、ははは、そっか・・」
単品で食ったらそりゃそうだろうなぁ・・・。
「ベタだけど・・・、あんなのを美味しい美味しいって食べてくれた。孝一兄ちゃんって優しいんだなって思った・・・兄ちゃんを意識し始めたのは、それから、だね」
うん、ベタベタだな。今時こんな事、恋愛シミュレーションゲームでもそうそう使われないだろう。
でも、切っ掛けなんて些細なもんだ。
ベタな展開。それが空那にはツボだったのかも知れないな。
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