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ハーレム・ドラッグ第三章―6
 一瞬の後、よろめきながら体を仰け反らせたのは・・・ロイドだ!
 その右腕には大きな亀裂が走り、火花と煙が吹き出している。
 風那の勝ちか!

「・・・マジでこの程度かテメエ! ガッカリなんてもんじゃねーぞ!」

 風那はそう叫ぶと、ロイドの顎めがけてジャンプし、ひざ蹴りを炸裂させた!
 たまらず仰向けに倒れたロイドが、両肩を開いてあの振動兵器を露出した。
 だが、そいつは使われる前に、着地した風那の両足によって踏み砕かれていた。

 それに構わずに、すかさずロイドは無事な左腕で風那に殴りかかる!
 しかし、その左拳を、風那は右手の指をすべて伸ばした手刀の『突き』で、無造作に、正面から貫いてしまった!
 右手を振り、ロイドの左腕から抜いた風那は、振動兵器を踏み潰したまま静かに仁王立ちをする。

「グォ、ォ・・・!」
「・・・もう寝てな!」

 ロイドが体を起こして風那を落とそうとするより早く、風那の右拳が振り落とされた。
 金属を破壊する轟音と共に、ロイドの顔面に風那の拳が深々と突き刺さるる!
 ・・・強すぎる力の為に、ロイドの上半身がアスファルトにめり込んだ。
 さすがに、これが決定打になったのか、ロイドはもう動かなくなっていた。

 ・・・俺は開いた口がふさがらなかった。
 たった五発の攻撃で、あのロイドを沈黙させちまったよ。
 生身の人間をここまで強くするなんて、一体どんな道具を使ってんだ、風那の奴・・・。

「あっちは片付いたみたいだから、今度は私の番だね」

 スカーレットの前に立ちふさがっていた、空那が言った。

「く、空那、気をつけろ・・・ゴホッ、そいつ、毒を使うぞ・・・」
「毒? ・・・了解!」

 空那は俺の言葉に返事をすると、指を広げたまま、両手をスカーレットに向かって突き出した。

「それっ!!」

 空那の声が聞こえると同時に、スカーレットの体の一部が・・・えぐり取られた!?
 出せない悲鳴を上げ、スカーレットが体を震わせながら後退したが、えぐり取られた部分はそのまま空中に浮かんだままだ。
 まるで、見えないカプセルに閉じ込められたようだ。
 それを見ていると・・・何だ? 宙に浮いた一部が縮んで、変色していってる?

「やっぱり、この赤いのも『呼吸』してるんだ、安心したよ。『真空』でも平気だったら、ちょっとやばかったかも」

 と、スカーレットが体のあちこちを槍のように尖らせ、それを空那に向けて高速で伸ばして、攻撃する!
 しかし、その槍たちはまた空中で千切れ、宙に浮かんだままになる。
 さっき千切れた部分は、縮みきったのか黒い小さな固まりになってしまっていた。

 今の槍の部分も、量が少ないせいか見る見るうちに変色して固まりになっていく。
 空那の周りの空気が『歪んだ』。光の屈折が変化してそう見えているようだ。
 呼吸がどーたら言ってたし、空那の能力は『空気を操る』もの何だろうか。

「スカーレット! 戻りなさい!」

 それまで戦いを静かに見つめていた氷室が不意に叫んだ。
 急いで氷室の体に取り付いたスカーレットが、皮膚から吸収されるように体が小さくなっていく。
 氷室が体内に戻したんだろう。

「まったく、やってくれるわね。しょうがない、私が直接相手をするわ」

 溜め息をつきながら、肩に掛かった髪を払う氷室が冷たく笑う。
 まるで散歩でもするような気楽さで、俺たちの方へ歩き出した。
 そこへロイドから離れた風那が空那と肩を並べ、氷室の進路上に対峙する。

「させねえって言ってんだろうが!」
「孝一兄ちゃんには指一本触れさせないよ!」

 風那が氷室に襲いかかった! 右手を大きく振りかぶり、そのまま一撃を放つ!
 その拳を氷室は左手で・・・受け止めた!?

「なっ・・・!?」
「女の子は、もうちょっとお淑やかにした方がいいと思うわよぉ?」

 驚きに、風那の動きが止まった。
 氷室が軽く左腕を振ると、風那の体が独楽のように回転し、後ろへと放り投げられた!

「うわぁっ!?」
「お姉ちゃんっ! このっ!!」

 空那が右手を上段に振りかぶり、振り下ろす。
 次の瞬間、氷室の服が大きく真一文字に切り裂かれた!

「・・・真空の刃か、残念ねぇ。このボディアーマーを着てなかったら、もっと効果があったのに」

 そうだった、こいつオリハルコン製の・・・!
 でも、アーマーから露出してる足や肩が一部、ばっくりと割れるように切れている。無傷って訳、じゃ・・・?
 傷口から血が流れていない。
 赤い物が見えているが、あれは・・・スカーレットだ! 傷口をスカーレットがふさいでやがる!

「じゃあ、これならどう! あなただって呼吸をしている事に変わりはないでしょ!」

 空那が両手を氷室に向けると、氷室の周りの空気が歪んだように見えた。
 彼女の周りの空気を遮断して、真空の空間を作り上げたんだろう。
 だが、氷室は・・・まるで気にしていないように、笑っていた。

「え・・・っ?」

 空那が焦ったような声を出した瞬間、微笑みながら氷室が跳躍した!
 アイシャが見せたような、水平に飛ぶ跳躍だ。一瞬で間合いを詰められた空那が、その首を掴まれて持ち上げられた。

「ぐ、はっ・・・!!」
「スカーレットは私の中だと、酸素ボンベのような役割も出来るのよ。一、二時間は活動できるわよ?」

 氷室は風那の時と同じく、空那の体を無造作に道路の脇に投げ捨てた。

「う・・・っ、く・・・!」「ぐぅっ、くは・・・!」

 ・・・? 二人の様子がおかしいぞ!?
 体が、思うように動かないみたいにもがいている!

「二人に、な、ゴホッ、何しやがった・・・!」
「スカーレットの毒をちょっぴり注入しただけよ。安心なさい、一晩もすれば直るわ」

 あの麻痺毒か・・・!
 俺の時は疑似ウロボロスの力で無効化したが、即効性の強力な奴だった。
 あれを使われたんじゃ、無理もねえ・・・!
 だが、二人を麻痺させただけってのは、何故だ?
 自分の家族も手にかけた女が・・・。

「殺さないのが不思議? ふふ、あなたの頑張りにキュンとしたせいかしら。今日は殺しも、食べるのも、したい気分じゃなくなったのよ」

 ・・・また、あの笑顔だ。
 見るだけで心が暖かくなるような、優しさに溢れた笑顔。
 一体、どれがこの女の本当の笑顔なんだ?

「さあ、次はあなたね、ホムンクルスちゃん。この結界、壊させてもらうわよ」
「・・・っ」

 白銀の少女は答えない。
 相変わらず無表情だったが、その瞳に不安気な色が走ったのを、俺は見逃さなかった。
 その首の後ろに、引き攣れたような大きな傷跡が見えた。

テーマ:創作官能小説連載
ジャンル:アダルト
コメント
更新お疲れ様です。
風那は身体能力と固さが超人的でなおかつ格闘能力ありといったところか?
格闘のほうは風那が元々持っていた可能性もありますが。
空那は空間を真空にする能力?
今回はいまいちでしたがさらに発展などしたらいろいろできるかなりの能力やなあ…
今後に期待。
しかし…氷室強すぎやろ……
スカーレットとの融合?でパワーアップしてたとしてもねぇ。
さてそろそろ今回の戦闘は終わりそうですがどうなるやら?
それでは~
2009/03/02(Mon) 14:39 | URL | ソウシ | 【編集
Re: ハーレム・ドラッグ第三章―6
いやはや
2人とも強いですな
空那の方の能力もはやチートじゃね?w
ってくらいですw
今回の敗因は戦闘経験の少なさによる
状況判断の甘さってとこかな?

次回どうなるか
楽しみです^^
2009/03/03(Tue) 00:32 | URL | ヒデ | 【編集
コメントありがとうございます
>>ソウシ さん
風那&空那の能力は、ほぼご想像の通りです。
風那の格闘能力は、常人じゃ真似出来ない方法で習得してますw
空那の方は応用面を重視した物になっています。

氷室は四人の側近の一人、いわば四天王の一角ですから、べらぼうに強いです。
でも、天敵がいるんですけどねw


>>ヒデ さん
一応、風那&空那の能力はイメージ的に対になる感じで作りました。
よく、『○○相打つ!』とか言われる動物です。
・・・伏せ字の意味があまり無いですなw

敗因はそれに加えて、氷室の実力が凄いのと、能力使用の未熟さですね。
つまり、二人ともまだ本来の力を・・・な訳です。

2009/03/03(Tue) 09:06 | URL | HEKS | 【編集
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