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ハーレム・ドラッグ―9

「グッ・・・クゥ・・・! 凄い力ね・・・ドーピングでもしてるの? サムライ・ガール」

 金髪娘が左腕を抑えながら桐山を睨みつつ立ち上がった。飛ばされた拍子に壁に打ちつけたらしい。
 それでも剣を離さなかったのは見上げたもんだ。

「薬なんか使わないわよ、お肌に悪そうだし。それよりも、人の惚れた男に手ぇ出してただで済むと思うなぁ!」

 え、え~と・・・桐山さん? それは本気と書いてマジですか?

「ちぃりゃぁぁっ!!」
「クッ! グゥゥッ・・・!」

 固まってる俺を置いて、桐山は金髪娘とのチャンバラ合戦を開始した。
 桐山の猛攻に金髪娘は防戦一方だ。

 それでも右腕一本で剣を操って何とか凌いでるんだから、俺の予想以上の使い手だったようだ。
 もう少し桐山が来るのが遅かったら、本気で腕の一本くらいやられてたかもな。

 って、ちょっと待て。
 桐山が持ってるのは木刀だった。
 で、相手の得物は俺の鞄や金具をもあっさり切り裂いた、ムチャクチャな剣・・・ってやばいんじゃねぇのか!?

「お、おい桐山!! 木刀を切られないように気をつけろ!」
「しゃっ!! ふっ、はぁっ!! 大丈夫よ! こいつの剣、切れるのは先の部分だけだから!」
「なに?」

 打ち合っていた二人が一旦離れた。
 桐山は汗一つかかずに涼しい顔をしているが、相手の方は肩で息をしてフラフラだ。

「こいつの剣、ちゃんと切れるようになってるのは先端からせいぜい五センチくらいね。それ以外の部分はなまくらよ、ただの金属の棒。一発で分かったわよ」

 金髪娘が痛みとは別に顔を歪めたように見えた・・・図星か?
 もしかしたら・・・さっき『肉体と剣の組成を少々強化した』とか言ってたな。
 体の方は分からんが、剣の方は先端部を強化する為に他の部分から金属分子を集めて凝縮した・・・とか?
 多分、考え方としちゃ合ってるんじゃなかろうか。

 それにしても、一発で分かったって・・・さすが達人、桐山さつき。
 敵にはしたくない女だ。

「後藤! 大丈夫!?」
「篠宮?」

 二人の少女剣士が睨みあう中、篠宮が俺の側に駆け寄ってきた。

「山浦先生、まだ来てなかったの。さつきが居たのを思い出して、剣道場に行って呼んできたわ」
「そっか、サンキュ。助かったぜ」
「う、うん。それより、怪我してないの? 大丈夫?」

 心配そうな瞳を、眼鏡の向こうから俺に向けてくる。

「ああ、桐山とお前のおかげでな」

 う、泣きそうな顔で笑いやがった。
 俺の胸が軽く締め付けられるように疼く。
 か、可愛い・・・かも・・・。

「こらそこ! こっちを無視してイチャつかないの!」

 桐山の突っ込みが飛んできた。

「し、しとらんわ!」
「し、してないわよ!」

 俺と篠宮の声がハモった。あれ、さっきもあったような。
 ぐは、篠宮の顔が真っ赤になってる。
 ヤバイ、真面目に可愛く思えてきた。

「ハッ!」

 桐山がこちらに突っ込みを入れている僅かなすきに、金髪娘は窓から外に身を乗り出していた。
 逃げる気か!?

「ゴトウ・コーイチ! 今日はこれで引き下がるけど、諦めた訳じゃないわよ!」
「あ、コラ待て!」

 桐山の叫びを尻目に、金髪娘は窓から飛び降りて・・・。
 うぉぉい!? ここ三階だぞ!!
 俺は慌てて窓に駆け寄ったが、どこにも彼女の姿は見えなかった。

「逃げ足が速いわね・・・。まぁいいか、後藤は守れたし。怪我してない?」

 三階から人が飛び降りるのは、まぁいいか、で片付く問題ではないと思うが。
 でも、今は二人に感謝しなくちゃな。

「二人ともありがとう、助かったぜ」

 俺は二人に向かって頭を下げた。

「いいって事よ。それで、あの外人さん誰?」
「あなたの事を知っていたみたいだけど・・・」

 う、助かったのはいいが、新たな問題が展開。
 さて、どう誤魔化したらいいのやら。

テーマ:創作官能小説連載
ジャンル:アダルト
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