2ntブログ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ハーレム・ドラッグ―10
「あ、あ~、その、俺にも何が何だかさっぱり分からないんだ。どうも、俺の先祖と彼女の先祖との間で何かあったらしいんだが・・・」

 本当の事なんて言える訳が無い。
 言ったとしてもまず信じちゃもらえないだろうし、玲子先生の事もある。
 真実は墓穴まで持っていかなくちゃならないだろうな。

「薬と本を寄越せって言ってたわよね、それに心当たりはあるの?」

 篠宮が顎に手を当てつつ聞いてきた。

「い、いや、さっぱり。俺は爺さんの家を追い出されて一人暮らしだから、ご先祖様の残した物なんか見当もつかねえよ」

 うう、仕方がないとはいえ、嘘をつく事に良心が傷む。
 俺の口は自然と鈍くなってしまった。
 だが、二人はそれを違った意味でとったらしい。

「え・・・お、追い出された?」
「あなた、一人暮らししてたの?」

 鈍くなった原因は、一人暮らしになった事が理由だと思ったみたいだ。
 二人には悪いが、これで誤魔化させてもらうか。

「え、あ、ああ・・・爺さんの遺産相続の関係でな。ま、厄介払いってやつさ」

 聞いてはいけない事を聞いてしまった、そんな風に二人の顔が沈んでいく。
 あああ、そんな顔されたら更に罪悪感が増量してしまうじゃないか。

「ごめん、後藤。言いたくなかったよね、そんな事・・・」
「私もごめんなさい。あなたのお爺さんが亡くなったのは知ってたけど、そんな事になってたなんて・・・」
「い、いいって、いいって、気にすんなよ! 俺的にはがめつい親類どもと顔を会わす事がなくなって、せいせいしてるんだからさ」

 慌てて言った俺の言葉に、二人の表情が和らいだ。
 ふう、何とか取り繕えたか。

「待って。それじゃあ後藤って、食事とかどうしてるの?」

 桐山が思いついたように聞いてきた。

「ん? 一応自炊してるけど・・・」

 爺さんの家にいた頃は家政婦さんが通って来てたから、俺に料理の経験はまるで無い。
 作れる物はレトルトか冷凍物かインスタント、という極めて不健康な生活を送っている。

 まぁ、自分でも何とかしたいとは思っているが、ついつい手軽に済ませちまうんだよなぁ。
 その事を言うと、桐山は妙に嬉しそうな顔をした。

「駄目じゃない、そんな偏った食事してちゃ。体を壊す元よ? よっし、このさつきさんが一肌脱ごうじゃないの」
「は?」
「え?」

 俺と篠宮の声がまたハモった。
 こいつとは変なところで気が合うな。
 と、そんな事は今はいい。

「ど、どういう意味だよ?」
「あの外人さんが懲りずにまた来るかもしれないでしょ? 護衛も兼ねて、後藤に食事を作りに行ってあげるよ」
「えぇっ!?」

 驚いたのは、俺ではなく篠宮だった。
 ・・・先に声を上げられてしまったので、俺の唇はむなしく動いて声を出せなかった。
 っつーか、何でお前がそんなに驚くんだよ、篠宮。

「ほ・・・、本気なの? さつき・・・」
「うん。・・・あ~そうだった、ごめんね百合香。さっき勢いで後藤に告っちゃった」
「ふぇ?」

 篠宮が間の抜けた声を出して、俺と桐山をゆっくりと交互に見つめた。
 そういえば、桐山のやつさっき怒鳴ってたっけ・・・。
 ん? 何で篠宮に謝ってるんだ? ・・・よく分からん。

「まぁ、そういう訳なんだよねー。後藤、私、本気だよ?」

 木刀を肩に担ぎつつ、桐山はニコニコしながら俺にきっぱりと言い切った。
 え、えぇっと、どう反応すりゃいいんだ!?
 こんなシチュエーションの経験値なんて、ほぼゼロの俺にはきつ過ぎる展開なのですが。

 いや、素直に嬉しいんだけどな?
 桐山はしょっちゅうラブレターを貰っている美少女だ。
 それに、剣道で鍛えた体を水泳の授業で見たときは危ない妄想に浸るよりも、その均整のとれた肉体美に見とれちまったくらいに綺麗だった。

 誰とも付きあう気配が無いので、あっちの気があるんじゃないかと噂された事がある。事実、ラブレターの四分の一は女からだ。
 前にその辺の事をからかいながら聞いてみたが、その気は無いときっぱり断言されたな。

「こう見えても、私は後藤一筋なんだよ。それとも、私じゃご不満?」

 桐山が俺の右腕を取り、体を密着させてきた。

 むにゅん。

 むはぁぁぁ! 乳が! 乳の感触が腕にぃぃぃ!!
 き、桐山は着痩せするタイプなんだよなぁ・・・。

 むにゅむにゅむにゅ~。

 俺の反応を面白く感じたのか、桐山のやつ更に胸を押し付けてきやがった。
 あう、あったかいやら柔らかいやら。

「ね~え~、ご飯作りに行ってもいいでしょぉ~? 私の料理は結構美味しいんだよぉ~? ほれほれ」

 む~にゅむにゅん、むにゅむにゅ~。

 ああああ、乳の感触と熱が理性を溶かしていきますです。

 ぷにゅん。

 思わず『はい、お願いします』と言いかけた時、反対側の腕に何かが押し付けられた。

「へぅ?」

 新たな感触の正体を確かめようとそっちを見ると、篠宮が俺の左腕を自分の胸に押し付けていた。
 ・・・何をしてますか、お前さんはぁぁぁ!?

テーマ:創作官能小説連載
ジャンル:アダルト
コメント
はじめまして。
この作品のために日参しております。
短期間での更新は大変かと思いますが
応援しておりますので、お体にお気をつけて
これからもがんばってください。
2008/01/15(Tue) 01:40 | URL | はーれむスキー | 【編集
コメントありがとうございます
>>はーれむスキー さん

応援、ありがとうございます。
日参してくださっているとの事で、ありがたい限りです。
自分の拙い技術でどこまでやれるかわかりませんが、頑張ります。

反面、『ご都合主義な官能小説』の方がちょっと停滞しているのですが・・・これは自業自得ですねw
2008/01/15(Tue) 16:50 | URL | HEKS | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック