2008年04月12日 (土)
「それはそうと、二人とも家の方は大丈夫なのか? 結局泊めちまったけど」
俺はもう一つ気になっていた事を聞いた。
連絡無しだったら、色々大変な事になるからな。
まぁ、この二人の事だから・・・。
「ん、だいじょーぶだよ」
「お婆ちゃんの家に泊まるって言っておいたし、お婆ちゃんにも根回し済みだから」
やっぱり対策済みか、一安心だ・・・いや、待て。
「おい? それじゃあ大家さんは二人がここに泊まった事を知ってるって事か!?」
「そうだけど?」
「おいおい・・・」
俺はもう一つ気になっていた事を聞いた。
連絡無しだったら、色々大変な事になるからな。
まぁ、この二人の事だから・・・。
「ん、だいじょーぶだよ」
「お婆ちゃんの家に泊まるって言っておいたし、お婆ちゃんにも根回し済みだから」
やっぱり対策済みか、一安心だ・・・いや、待て。
「おい? それじゃあ大家さんは二人がここに泊まった事を知ってるって事か!?」
「そうだけど?」
「おいおい・・・」
大家さんの顔を思い出し、俺は背筋が冷たくなった。
恐らく九十近い婆ちゃんだが、恐ろしく元気な上に、凄く・・・怖い。
とにかく厳しい人で、アパートの住人全員が恐れている人物だ。
一度、ゴミ出しの日を間違えて、生ゴミを回収日以外の日に出してしまった事がある。
当然回収されなかった生ゴミは野良猫とカラスの格好の標的になり、路上に散乱してしまった。
その事をこっぴどく叱られた後、現場を掃除する羽目になったのだ・・・大家さんの監視付きで・・・。
全身に突き刺さる視線の鋭さといったらアンタ、どこぞの凄腕スナイパーとでも互角のガン付け勝負が出来るんじゃないかと思えるくらいだったぜ。
町内会でも有名らしく、大家さんに頭が上がる人は誰もいないそうだ。
まぁ、その厳しさのお蔭で、このアパートの界隈では騒音問題やゴミ出しのルール違反などはまったく発生していないのはありがたい所だ。
しかし、その大家さんに孫娘の処女を奪ったなんて事を知られた日にゃ・・・。
全身の血が引いていく音が聞こえた。
「大丈夫だって。お婆ちゃん、孝一兄ちゃんのことかなり気に入ってるみたいだし」
「・・・大家さんが?」
「私たちがお兄ちゃんのことを好きだって知ったら、全面的に協力するって約束してくれたもん」
「協力って・・・」
「頑張って、孝一兄ちゃんを落とせってさ!」
「その代わり、お兄ちゃんに選ばれなくても恨むなって言ってた。男は根本的に浮気する生き物だから、その時は自分の魅力が足りなかったと思って諦めろって」
「・・・・・・」
なんというか・・・豪気? とでも言うのか・・・。
すげえ婆ちゃんだ。それとも、昔の人間だからそんな思考なんだろうか。
「そーいう事だから、何も心配いらないよ」
「私たちは、お兄ちゃんの心を射止める為に全力を尽くすだけ。誰を選ぶかは、お兄ちゃんだから」
二人の言葉に、安心したようなかえって責任を感じたような・・・。
複雑な心境だな。
少なくとも、二人を傷つけるような事だけはしないようにしないとな。
「それじゃあな。二人とも遅刻すんなよ?」
「孝一兄ちゃんもね。私たちの作ったお弁当、後で感想聞かせてね」
「ああ、楽しみにしてるよ」
「車に気をつけてね?」
「俺は小学生かよ」
登校する時間になり、談笑しながらアパートの前の道に出た
二人の通う中学は俺の通う高校とは反対方向なので、ここで別れる事になる。
「あ、お兄ちゃん。ちょっと待って」
「ん?」
風那に呼び止められて立ち止まった俺の右側に風那が、左側に空那がとととっと寄って来た。
「「行ってらっしゃい」」
チュッ。
爪先立ちになった二人が、俺の両頬に軽い口付けをした。
「う・・・」
「えへへ~、じゃーね、孝一兄ちゃん!」
「また今度・・・ね!」
頬を染めつつ、足取りも軽やかに、二人はニコニコしながら去っていった。
後に残されたのは、呆然とたたずむ俺一人。
俺、もしかして、幸せ絶頂?
有頂天になりながら、俺も学校に向かうのであった。
・・・数十分後、ヘロヘロになりながらようやく教室に辿り着いた俺がいた。
「ぜえっはあっぜえっはあっ・・・ひ、ひでぇ目にあった・・・!」
「よう、後藤、無事だったか」
金城の奴が、某物語に出てくるチェシャ猫のようにニヤニヤしながら俺に顔を向けた。
桑田と高原もいる。くそ、こいつらも笑ってやがるぜ。
「ぜえぜえ・・・何だよ? 何があったのか知ってそうだな金城」
「お前を妬んだ連中が奇襲してきたんだろ?」
その通り。
学校に着いた直後、あちこちから嫉妬組みの襲撃を受けたのだ。
校門の影から、雄叫びと共にテコンドー部員が蹴りを繰り出してくるわ(返り討ちにした)。
茂みの中から頭に枝を挿したバスケ部員がボールを投げつけてくるわ(ボールを投げ返して全員K.O.した)。
サバイバルゲーム同好会の連中がエアガン乱射してくるわ(シャレにならんので、遠慮なく叩きのめした)。
更に野球部やハンドボール部、果ては茶道部、チア部、ブラスバンド部の女子部員まで襲い掛かってきやがった。
流石に女子に手は上げられないので、俺はひたすら逃げ回ることに・・・。
朝から校内を駆け巡る羽目になるとは思わなかった。
風那と空那にキスされた喜びが台無しだぜ。
「窓から見てたけどよ、お前、結構運動神経良かったんだな。何か部活やってみたらどうだ?」
桑田が紙パックの牛乳を飲みながら聞いてきた。
「バイトがあるんだ、んな暇無いって」
「ああ、そーいやそーだったな」
学費と、生活に必要な最低限の金は爺さんの遺産から出ることになっているが、余裕が殆ど無い。遊びに使える金なんかゼロだ。
故に、バイトは俺にとって貴重な収入源なのだ。
と、俺はここである事実に気がついた。
俺、こんなに体力あったっけ? それに、運動神経が良いって?
多少、腕っ節に自信はあるが、運動系の部活をやってる奴には敵わない・・・はずだ。
中学の頃は、体育の成績は中の上くらいだったしな。
・・・これも、改変薬の力か?
そういや、今朝も風那たちとのセックスの疲れはまるで感じなかったな。
肉体的に優れている人間になりつつあるんだろうか。
まぁ、悪い気はしないな。
これで頭も良くなれば文句無いんだがね。
恐らく九十近い婆ちゃんだが、恐ろしく元気な上に、凄く・・・怖い。
とにかく厳しい人で、アパートの住人全員が恐れている人物だ。
一度、ゴミ出しの日を間違えて、生ゴミを回収日以外の日に出してしまった事がある。
当然回収されなかった生ゴミは野良猫とカラスの格好の標的になり、路上に散乱してしまった。
その事をこっぴどく叱られた後、現場を掃除する羽目になったのだ・・・大家さんの監視付きで・・・。
全身に突き刺さる視線の鋭さといったらアンタ、どこぞの凄腕スナイパーとでも互角のガン付け勝負が出来るんじゃないかと思えるくらいだったぜ。
町内会でも有名らしく、大家さんに頭が上がる人は誰もいないそうだ。
まぁ、その厳しさのお蔭で、このアパートの界隈では騒音問題やゴミ出しのルール違反などはまったく発生していないのはありがたい所だ。
しかし、その大家さんに孫娘の処女を奪ったなんて事を知られた日にゃ・・・。
全身の血が引いていく音が聞こえた。
「大丈夫だって。お婆ちゃん、孝一兄ちゃんのことかなり気に入ってるみたいだし」
「・・・大家さんが?」
「私たちがお兄ちゃんのことを好きだって知ったら、全面的に協力するって約束してくれたもん」
「協力って・・・」
「頑張って、孝一兄ちゃんを落とせってさ!」
「その代わり、お兄ちゃんに選ばれなくても恨むなって言ってた。男は根本的に浮気する生き物だから、その時は自分の魅力が足りなかったと思って諦めろって」
「・・・・・・」
なんというか・・・豪気? とでも言うのか・・・。
すげえ婆ちゃんだ。それとも、昔の人間だからそんな思考なんだろうか。
「そーいう事だから、何も心配いらないよ」
「私たちは、お兄ちゃんの心を射止める為に全力を尽くすだけ。誰を選ぶかは、お兄ちゃんだから」
二人の言葉に、安心したようなかえって責任を感じたような・・・。
複雑な心境だな。
少なくとも、二人を傷つけるような事だけはしないようにしないとな。
「それじゃあな。二人とも遅刻すんなよ?」
「孝一兄ちゃんもね。私たちの作ったお弁当、後で感想聞かせてね」
「ああ、楽しみにしてるよ」
「車に気をつけてね?」
「俺は小学生かよ」
登校する時間になり、談笑しながらアパートの前の道に出た
二人の通う中学は俺の通う高校とは反対方向なので、ここで別れる事になる。
「あ、お兄ちゃん。ちょっと待って」
「ん?」
風那に呼び止められて立ち止まった俺の右側に風那が、左側に空那がとととっと寄って来た。
「「行ってらっしゃい」」
チュッ。
爪先立ちになった二人が、俺の両頬に軽い口付けをした。
「う・・・」
「えへへ~、じゃーね、孝一兄ちゃん!」
「また今度・・・ね!」
頬を染めつつ、足取りも軽やかに、二人はニコニコしながら去っていった。
後に残されたのは、呆然とたたずむ俺一人。
俺、もしかして、幸せ絶頂?
有頂天になりながら、俺も学校に向かうのであった。
・・・数十分後、ヘロヘロになりながらようやく教室に辿り着いた俺がいた。
「ぜえっはあっぜえっはあっ・・・ひ、ひでぇ目にあった・・・!」
「よう、後藤、無事だったか」
金城の奴が、某物語に出てくるチェシャ猫のようにニヤニヤしながら俺に顔を向けた。
桑田と高原もいる。くそ、こいつらも笑ってやがるぜ。
「ぜえぜえ・・・何だよ? 何があったのか知ってそうだな金城」
「お前を妬んだ連中が奇襲してきたんだろ?」
その通り。
学校に着いた直後、あちこちから嫉妬組みの襲撃を受けたのだ。
校門の影から、雄叫びと共にテコンドー部員が蹴りを繰り出してくるわ(返り討ちにした)。
茂みの中から頭に枝を挿したバスケ部員がボールを投げつけてくるわ(ボールを投げ返して全員K.O.した)。
サバイバルゲーム同好会の連中がエアガン乱射してくるわ(シャレにならんので、遠慮なく叩きのめした)。
更に野球部やハンドボール部、果ては茶道部、チア部、ブラスバンド部の女子部員まで襲い掛かってきやがった。
流石に女子に手は上げられないので、俺はひたすら逃げ回ることに・・・。
朝から校内を駆け巡る羽目になるとは思わなかった。
風那と空那にキスされた喜びが台無しだぜ。
「窓から見てたけどよ、お前、結構運動神経良かったんだな。何か部活やってみたらどうだ?」
桑田が紙パックの牛乳を飲みながら聞いてきた。
「バイトがあるんだ、んな暇無いって」
「ああ、そーいやそーだったな」
学費と、生活に必要な最低限の金は爺さんの遺産から出ることになっているが、余裕が殆ど無い。遊びに使える金なんかゼロだ。
故に、バイトは俺にとって貴重な収入源なのだ。
と、俺はここである事実に気がついた。
俺、こんなに体力あったっけ? それに、運動神経が良いって?
多少、腕っ節に自信はあるが、運動系の部活をやってる奴には敵わない・・・はずだ。
中学の頃は、体育の成績は中の上くらいだったしな。
・・・これも、改変薬の力か?
そういや、今朝も風那たちとのセックスの疲れはまるで感じなかったな。
肉体的に優れている人間になりつつあるんだろうか。
まぁ、悪い気はしないな。
これで頭も良くなれば文句無いんだがね。
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