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ハーレム・ドラッグ第三章―3
 視界が元に戻り、喪失していた現実感を取り戻した。
 氷室の姿が見えた。さっきまで浮かべていた薄笑いは消え、俺を油断無く睨みつけてやがる。

「ご主人様の予想的中か・・・。秘薬、飲んじゃってたのね」
「・・・事故だったけどな。自分から飲んだ訳じゃねえよ」
「ふぅん・・・。それで、どうするつもりかしら?」

 コイツ、なんか余裕あるな・・・。
 この力のこと、ある程度知ってるのか?

「・・・逃げるんなら、見逃してやるぜ? この力、正直言って上手くコントロールできる自信がないんだ」
「あら、優しいこと。でも、何もしないで退散したら叱られちゃうのよね~。少しだけ相手してくれる?」

 氷室の顔に、笑みが戻った。
 薄笑いと共に、舌なめずりしてるぜ・・・。
 俺は蛇の蠢く左手を握り締め、あいつらの挙動に集中した。
 スカーレットが動く。
 一瞬の身じろぎの後、体の一部を鋭い槍の様に突き出して、俺に向かって繰り出した!

 俺は・・・動くまでもねぇ。
 蛇が俺の左手から青白い光の軌跡を残して飛び出し、血の色の槍に噛み付く!
 そのまま槍に巻きつき、軽く力をかけて締め付けると血色の槍は塵の様になって砕け、風の流れに乗って消えていく。
 スカーレットが出ない声で悲鳴を上げたように動き、体を震わせて後ずさった。
 飛び出した蛇は、瞬時に俺の左手に戻ってくる。

「・・・へぇぇ。大したもんね」
「まだやんのかよ・・・? 次は遠慮しねえぞ」
「怖い顔しないでよぉ♪ 可愛い顔が台無しよ?」
「うるせえよ・・・! 今のを見ただろ、あんたの体だって、ああなるぞ!」
「ふふっ・・・」

 氷室の奴、余裕しゃくしゃくって感じで笑ってやがる・・・。
 こいつ、まさか・・・?

「別にあなたの方から仕掛けて来てもいいのよ?」
「・・・・・・」
「動けない? そうでしょうね~。その傷付いた体じゃ満足に動けないでしょ~? それに、その力もさほど長く使えないんじゃない?♪」

 ・・・チッ、気付いてやがったか・・・!
 向こうが退散してくれりゃ言う事無しだったが・・・。実際のとこ、氷室の言うとおりだった。
 胸は肋骨が何本かイかれてるっぽいし、穴だらけの右腕から出血が止まらない上にもう感覚がねえ。
 痛みで全身にベトついた嫌な汗をかいて、気持ち悪い。たぶん顔色もすこぶる悪いだろう。
 正直、足もふらついて実に頼りない状態だ。
 それでも、引くわけにゃいかねえ・・・!

「・・・ああ、その通りだよ」
「あら、ずいぶん素直ね。ちょっと拍子抜け」
「でもな・・・強弱のコントロールにゃ自信はないが、使い方はマスターしてるんだぜ?」

 俺の頭の中には、蛇の使い方はインプット済みだ。
 今みたいな使い方も、『それ以外』のやり方もな・・・!
 氷室の顔から笑みが消えた。
 俺達の間の空気が張り詰める。
 来るか? そう思った時だった。

「メグミ、何を、してる?」

 頭上から、聞き覚えのあるたどたどしい声が聞こえてきた。。
 クソッ、マジかよ!?

「あら、どしたの?」
「ジェド様の、命令で、手伝いに、来た」

 空に音も無く浮かんでいたのは、あのゴーレム・・・! ロイドまで来やがった!
 まずい、もう時間が無い・・・。
 百合香たちを助け、この怪物どもを退けるには・・・もうアレしかねえか・・・?

「あらぁ、手間かけ過ぎちゃったかしら。しょうがないわね~。そろそろ遊びはおしまい・・・孝一クン、秘本はどこにあるの?」

 狂気が充満した、氷のような冷たい眼光。
 『射抜く』、という言葉が脳裏に浮かんだ。
 背筋に、液体窒素をぶっかけられたような悪寒が走る。
 これが氷室の本性か・・・!

「く・・・っ!」
「手間をかける子は嫌いよ。早く教えなさい」

 ・・・駄目だ、今の状況じゃ・・・。この蛇じゃ力が足りない・・・。
 氷室、スカーレット、ロイド・・・どいつか一人ならぶちのめせると思うが、そこで終わりだ。
 百合香も、本村さんたちも助けられねぇ・・・っ!
 俺は、覚悟を決めた。

「・・・しょうがねえ」

 左腕から、蛇を消した。
 全身から力を抜いて、よろける体を支えきれずに、アスファルトの上にしゃがみ込む。
 クソ、胸が痛むぜ。

「教える気になった? 早く・・・」
「・・・今までの蛇はな、本村さんたちを助けた『善行』が力の源だった」

 俺は氷室の声を無視して言った。
 発動そのものは、俺の『怒り』と『悲しみ』の感情が起爆剤だった。
 そして、蛇の力は、本村さんと桃子ちゃんを助けた善行がエネルギー源だったのだ。

 問題は、『干渉と改変の蛇』はとんでもない大メシ食らいだったって事だ。
 蛇の力を振るうたび、行った善行のエネルギーはガンガン減っていく。
 蛇に『食われる』、と表現すれば分かりやすいだろう。

 改変薬の力は、あくまでも『善行を行う事』が大前提にして大原則なんだ。
 二人を助けた分の善行じゃ、数分程度しか蛇を使えないのは分かっていた。
 俺の体がこんな状態でなけりゃ、もう少し持ったんだが。
 俺は精神を集中し、研ぎ澄まし、体の中心へと手を伸ばす。

「・・・まだ何かするつもりなの?」
「奥の手って奴だよ。上手くいったら投げキッス付きで拍手してくれ」

 さて、そうなると『善行』を行っていない状態・・・。エネルギーがゼロの状態だと『干渉と改変の蛇』は使えない事になる。
 けれど、『改変薬』本来の力は、『過去の出来事に対し、未来から因果律に干渉して改変し、望む結果を得る』・・・ってものだ。
 だったら・・・変則的に、裏技じみたやり方だが・・・。
 こういうやり方も、有りって事だよな!!

「『矛盾』をねじ伏せろ・・・! 『干渉と改変の蛇』、強制『逆行』発動!!」

テーマ:創作官能小説連載
ジャンル:アダルト
コメント
Re: ハーレム・ドラッグ第三章―3
いい展開だとは思うんだけど、色々な意味で時間的な余裕がないのに会話を重ねるってのは……命もかかってるしもう少し必死になってもよさそうですが。
あと敵さんに能力の説明をしちゃあ能力バレ著しいので後の展開が苦しくなりそう。

なにはともあれ早く百合香さんを助けてあげてw
2009/01/31(Sat) 08:48 | URL | クロガネ | 【編集
コメントありがとうございます
>>クロガネ さん
うぅむ、ちょっと引っ張りすぎましたかね?(^^;;
倒すか、助けるかの二択のシーンでしたので、まず安全確保の意味合いで孝一にはったりをかませて見たわけですが・・・。
確かに、ちょっと日和見というか、のんびりしてましたね。

能力バレの方は、まあ大丈夫かな、とか甘いこと考えてたりしますw
筆力の無さを、骨身に染みたりするような事にならなきゃいいんですがw(ぉ

>>なにはともあれ早く百合香さんを助けてあげてw

その辺は、孝一君に命を削ってでも頑張ってもらうという事で(ぉ
あと、本村さん一家も忘れないであげてくださいw
2009/02/01(Sun) 02:49 | URL | HEKS | 【編集
ふむ…リスクは寿命辺り…かな?
そのぐらいじゃないと無理ぽそうやし。
逆行となると私のとある予想は外れるな…
そう…赤ちゃんを肉体活性化させることで助けその影響で肉体を成長させ頭は子供?体はオトナなどこぞの探偵の逆パターンという展開は…!
まあほんの少ししか考えませんでしたが(笑)
しかし一人相手なら本来の力使わんでも勝てるってさすが主人公!
まあ主人公の考えだからそのとおりかはわかりませんが…
それではまた~
2009/02/01(Sun) 04:49 | URL | ソウシ | 【編集
Re: ハーレム・ドラッグ第三章―3
執筆おつです。

いつの間にか更新してた!!!ww
うーん連続第一コメント記録が途絶えてしまったww


裏ワザっすか・・・・
いいねぇ、しかもなんか代償ついてそうなのがいい(サムズアップ)。


この戦闘の後(或いは最中)のインターミッションで修行(?)に行った3人とさつき・夕紀がちょっぴり気になった今日このごろでした。


ではまた。

2009/02/02(Mon) 00:07 | URL | sk | 【編集
コメントありがとうございます
>>ソウシ さん
体だけ大人で、頭の中身が赤ん坊だと、もの凄く足手まといな気がw
バトル中に、笑いながらあちこち走り回りそうなw
しかし、大人の女性がいないいないばぁ~で、きゃっきゃと笑ったり、「ばぶ~」とか言ってるの見たら・・・。
引かれるか、何か危ない趣味に目覚めるかもw


>>sk さん
うはははは、不規則&不安定な更新ですみません。(←笑って誤魔化すw)
強制『逆行』発動のことは、次回で説明する予定です。
インターミッション3は・・・。
冒頭で、目が丸くなるかもしれませんw
2009/02/02(Mon) 17:07 | URL | HEKS | 【編集
Re: ハーレム・ドラッグ第三章―3
ブラフが通じない相手に
切り札の説明はちょっとどうかと
百合香や桃子ちゃんが死にそうなら、なおさらですし

後、能力の説明は会話ではなく、
()で括って心の中みたいにするのはどうでしょう

色々言ってしまいましだが今回も楽しく読ませてもらいました
更新お疲れ様でした♪
2009/02/02(Mon) 22:58 | URL | ヒデ | 【編集
コメントありがとうございます
>>ヒデ さん
ううむ、クロガネさんにも指摘されましたが、これは能力バレに関しては要修正かなぁ。
まとめサイトを作るときに全体を手直しする予定ですが、このあたりはちょっと冗長になってるきらいがあるので、修正予定部分として確定しておきますね。

何度か書いてますが、こういう意見はありがたいなぁ。
読んで、楽しみにしてくれている人がいるって事ですからね。
少しずつでも、良い物にしていこうと思ってます。
2009/02/03(Tue) 15:48 | URL | HEKS | 【編集
Re: ハーレム・ドラッグ第三章―3
更新おつかれさんです。

とりあえず、はやいとこ氷室を殺ってください。
もしくは奴隷にしてぼろ雑巾にするとか。
2009/02/12(Thu) 03:14 | URL |  | 【編集
コメントありがとうございます
>>名無しさん
返信が遅れて申し訳ありません。
あ~、彼女は怖いですよ?
無理に奴隷化なんぞしようものなら、挿入した先からイーターが物体Xよろしく侵入してきて・・・。
逆に奴隷にされるか、食われるかどちらかですw
2009/02/15(Sun) 02:07 | URL | HEKS | 【編集
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