2008年08月31日 (日)
「ところで夕紀? お前、家の方は大丈夫なのか?」
「ああ、私の家のことは気にしなくていいですよ。両親はもう長いこと海外でお仕事してるし、お姉ちゃんは彼氏と旅行に行ってますから」
「・・・そっか」
大家さんや、さつきの親御さんのように大らかな(大らか過ぎる気もするが)家族って訳じゃないみたいだな。
無断外泊になっちまって怒られるのかと思ったが、いらん心配だったか。
俺たちが夕紀の作ってくれた朝食を食べながらニュースを眺めていると、学校からの連絡が入った。
結局、と言うか予想通り、今日から暫くの間学校は休校になってしまった。
予想外の連休になっちまったな。
「ああ、私の家のことは気にしなくていいですよ。両親はもう長いこと海外でお仕事してるし、お姉ちゃんは彼氏と旅行に行ってますから」
「・・・そっか」
大家さんや、さつきの親御さんのように大らかな(大らか過ぎる気もするが)家族って訳じゃないみたいだな。
無断外泊になっちまって怒られるのかと思ったが、いらん心配だったか。
俺たちが夕紀の作ってくれた朝食を食べながらニュースを眺めていると、学校からの連絡が入った。
結局、と言うか予想通り、今日から暫くの間学校は休校になってしまった。
予想外の連休になっちまったな。
「それで先輩、やっぱり学校を見に行くんですか?」
「ああ、どれだけ壊されたのかもだけど、彼女の事が気になるからな」
「・・・和服さん、大丈夫かなぁ・・・。あの不思議な武器を持ってたし、そう簡単にやられたりしないとは思いますけど・・・」
そう。
あの白銀の少女がまだ戻って来ていないのだ。
本当に彼女が連中とやりあって校舎をぶっ壊す羽目になったのなら、動けないほどの重症を負った可能性もある。
ニュースじゃ女性を保護した、なんて事は言ってなかったから、考えられる可能性は残り二つ。
やられたか、連れ去られたか・・・。
いずれにしても、何か手がかりがあるかも知れんからな。
そんな事を考えて服を着替えていると、ニュースキャスターが少し慌てた様子で新しい情報を読み上げた。
『ええ、たった今入った新しい情報によりますと、お伝えしている高校と同じ区内にある小学校と中学校で、登校した生徒達の気分が悪くなって次々と帰宅しているそうです』
「なに!?」「えぇ!?」
俺と夕紀の驚いた声が同時に響いた。
『現場を呼び出してみましょう。レポーターの安西さん?』
『はい、こちら安西です。ここは例の壊された高校と同区内にある中学校ですが、登校した生徒達が次々と帰宅しています。ちょっと話を聞いてみました』
『うんと、学校の校門を抜けたら急に気分が悪くなって・・・。私の友達も来るそばからどんどん気分が悪くなっていって、吐いちゃった子もいました。変な匂いとか? いえ、ありませんでした』
『・・・え~、現場一帯には工場なども無く、化学物質の流失などは考えにくい状況です。小学校もまったく同じ状況ですが、学校から離れると症状は治まるようで、病院に担ぎ込まれた生徒などはいないようです』
『安西さん、学校の先生たちは平気なんですか?』
『教師の方たちはあまりそういった症状は出ていないとのことです。あってもごく軽いものだそうで。あ、どうやら一時休校を決定した模様です』
・・・何だよこれ。
一体何が起こってる!?
まるで昔発生した、新興宗教の起こしたテロ事件みたいな騒ぎだぞ。
「先輩、これもあの外人たちの仕業でしょうか・・・?」
「そうとしか思えないけど・・・決め付けるのは早いな。連中とは違う別口かもしれん」
「ああ、和服さんも言ってましたね。別の襲撃者が来ないとも限らないって」
そうだとすると、これまた厄介さが増した事になる。
俺と、アイシャたち、更に改変薬を狙う別の連中が現れたとなれば三つ巴だ。
この一連の騒ぎをアイシャたちの仲間がしでかしたという方が、単純明快なんだがな。
もっとも、改変薬を狙うことと、学校に何か細工をすることの繋がりが分からない以上、厄介な事に変わりは無い。
「とにかく学校に行ってみよう」
「はいっ」
俺と夕紀は連れ立って学校へと向かった。
簡単にだが、帽子を目深に被ったりして変装し、すぐには俺たちと分かりにくくしておいた。
気休めだが、しないよりはマシだろう。
学校の回りはマスコミと野次馬で大騒ぎだった。
空にはヘリが飛び回り、やかましいったらありゃしない。
校舎の方は、先生たちと警察が忙しく出たり入ったりしている。
その中に、玲子先生の顔を見た俺は声をかけようとしたが・・・大変そうなので止めておいた。
校舎は窓ガラスが片っ端から割れている以外、目立った傷は見られない。ぐるりと一周して見たけどいつもと変わらなかった。
破壊されたのは屋上から貫通した大穴だけみたいだな。
「うーん、特に分かることは無さそうだなあ」
「そうですねー。何よりこんなに人がいたんじゃ、ろくに調べられませんよ」
「だよなあ・・・」
「孝一・・・? やっぱり孝一だ!」
あきらめて帰ろうとした時、振り返った俺の前にいたのはさつきだった。
「よっ、さつき。おはようさん」
「桐山先輩、おはようございます」
「うん、おはよう・・・って、のん気に挨拶してる場合じゃないと思うけど? それに・・・」
「うん?」
「私と同じくらい、仲良くなっちゃったのねぇ~」
さつきは俺と夕紀を見て、ニヤニヤ笑っている。
まあ、部屋を出てからずっと腕を組んで歩いてるからな。
「そりゃあもう、桐山先輩 よ り も 仲良くなっちゃいましたから! ね、孝一さん!」
「お、おい?」
夕紀はさつきを挑発するようにぴったりと俺にくっついて、さらに俺を名前で呼びやがった。
お前、さっきまで先輩って言ってたじゃねーか!
「いいじゃないですかぁ。孝一さんだって私を呼び捨てにしてるんだし」
「う・・・分かったよ」
「わはーい♪」
だから必要以上にくっつくなっての!
さつきの視線が恐ろしい事になって・・・あれ、なってない?
むむ、余裕の表情で俺たちを見ているぞ。
「そう、やっと同じスタートラインに立った訳ね。正々堂々、手加減無しでいくからね!」
「・・・望む所です!」
二人は不敵な笑みを浮かべながら、互いを見つめ合っている。
ふむ、修羅場にはならないか。
さつきは正統派の武道家だし、夕紀も裏で色々画策するような性格じゃない。
もし剣道でもテニスでも同じことをやっていたなら、いいライバルになってたかもしれないな。
「それはそうと孝一さんったら、昨夜は初めての私にすっごく激しかったんですよ。合計でえ~と、六回もシテくれて・・・」
「ろ、六回!?」
天下の往来で頬を染めて何を言っている!!
俺は脱兎の如く二人を引っ張って逃げ、人気の無い路地へと入った。
「夕紀! 場所を考えろ場所を!」
「アハハ、すいません。嬉しかったんでつい・・・」
まったく・・・。嬉しそうに笑って誤魔化しやがって。怒るに怒れないじゃないか。
そして、俺の背後からは殺気混じりの鋭い視線が・・・。
「孝一・・・。本当なの? 六回もしたって・・・」
地獄の底から響いてくるような声だった。
それでいて声のトーンは静かなんだぜ? まるで殺気そのものが声になったようだ。
「本当ですよぉ~! 全部私の中にいっぱい注ぎ込んでくれたんです。もうお腹の中が熱くて壊れちゃいます~って言ってるのに、孝一さんたら更に激しく・・・」
「ええと、夕紀さん? お願いですからその辺にしておいて下さい」
全部事実だから余計にたちが悪い!
あああ、さつきの視線が更に刺さってくる。
「そう、本当なんだ・・・。私には一回だけだったのに、彼女には六回もシテあげたんだ・・・」
って、泣いてるし!?
「落ち着け! 回数で好きの度合いを決めた訳とかじゃねーから! その場の雰囲気というか、互いの体力と相談した結果と言うか・・・」
俺は懸命にさつきをなだめようとした。
両手で顔を覆って声と体を震わせてるんだから、さすがに落ち着かん。
が、俺の努力を嘲笑うかのように新たな来訪者が背後から・・・。
「六回・・・負けた」
「私たちは四回ずつだったよね。お兄ちゃん、ずるい」
ゆっくりと振り返ってみれば、そこに居たのは想像通りの双子だった。
「空那に風那! 何でこんな所に!?」
いつぞやの色違いのワンピースを着た二人が、路地の反対側からやって来ていたのだ。
「中学校も休校になっちゃったから、お兄ちゃんの所に遊びに行ったんだけど留守だったの」
「んで、これは高校の方に野次馬に行ったんだとみて、ここまで来たら声が聞こえたから」
「そ・・・そっか」
「麻生さん、六回もしたんだ、いいな~」
「えへへ・・・。でも二人も四回ずつシテもらったんだ、それも凄いね」
「気持ち良かったけど、孝一兄ちゃん、結構容赦ないよね」
「うんうん、激しいし、量も凄いし・・・」
・・・これなんて羞恥プレイ?
頼むから本人の前でセックス談義はやめてくれ。
「ああ、どれだけ壊されたのかもだけど、彼女の事が気になるからな」
「・・・和服さん、大丈夫かなぁ・・・。あの不思議な武器を持ってたし、そう簡単にやられたりしないとは思いますけど・・・」
そう。
あの白銀の少女がまだ戻って来ていないのだ。
本当に彼女が連中とやりあって校舎をぶっ壊す羽目になったのなら、動けないほどの重症を負った可能性もある。
ニュースじゃ女性を保護した、なんて事は言ってなかったから、考えられる可能性は残り二つ。
やられたか、連れ去られたか・・・。
いずれにしても、何か手がかりがあるかも知れんからな。
そんな事を考えて服を着替えていると、ニュースキャスターが少し慌てた様子で新しい情報を読み上げた。
『ええ、たった今入った新しい情報によりますと、お伝えしている高校と同じ区内にある小学校と中学校で、登校した生徒達の気分が悪くなって次々と帰宅しているそうです』
「なに!?」「えぇ!?」
俺と夕紀の驚いた声が同時に響いた。
『現場を呼び出してみましょう。レポーターの安西さん?』
『はい、こちら安西です。ここは例の壊された高校と同区内にある中学校ですが、登校した生徒達が次々と帰宅しています。ちょっと話を聞いてみました』
『うんと、学校の校門を抜けたら急に気分が悪くなって・・・。私の友達も来るそばからどんどん気分が悪くなっていって、吐いちゃった子もいました。変な匂いとか? いえ、ありませんでした』
『・・・え~、現場一帯には工場なども無く、化学物質の流失などは考えにくい状況です。小学校もまったく同じ状況ですが、学校から離れると症状は治まるようで、病院に担ぎ込まれた生徒などはいないようです』
『安西さん、学校の先生たちは平気なんですか?』
『教師の方たちはあまりそういった症状は出ていないとのことです。あってもごく軽いものだそうで。あ、どうやら一時休校を決定した模様です』
・・・何だよこれ。
一体何が起こってる!?
まるで昔発生した、新興宗教の起こしたテロ事件みたいな騒ぎだぞ。
「先輩、これもあの外人たちの仕業でしょうか・・・?」
「そうとしか思えないけど・・・決め付けるのは早いな。連中とは違う別口かもしれん」
「ああ、和服さんも言ってましたね。別の襲撃者が来ないとも限らないって」
そうだとすると、これまた厄介さが増した事になる。
俺と、アイシャたち、更に改変薬を狙う別の連中が現れたとなれば三つ巴だ。
この一連の騒ぎをアイシャたちの仲間がしでかしたという方が、単純明快なんだがな。
もっとも、改変薬を狙うことと、学校に何か細工をすることの繋がりが分からない以上、厄介な事に変わりは無い。
「とにかく学校に行ってみよう」
「はいっ」
俺と夕紀は連れ立って学校へと向かった。
簡単にだが、帽子を目深に被ったりして変装し、すぐには俺たちと分かりにくくしておいた。
気休めだが、しないよりはマシだろう。
学校の回りはマスコミと野次馬で大騒ぎだった。
空にはヘリが飛び回り、やかましいったらありゃしない。
校舎の方は、先生たちと警察が忙しく出たり入ったりしている。
その中に、玲子先生の顔を見た俺は声をかけようとしたが・・・大変そうなので止めておいた。
校舎は窓ガラスが片っ端から割れている以外、目立った傷は見られない。ぐるりと一周して見たけどいつもと変わらなかった。
破壊されたのは屋上から貫通した大穴だけみたいだな。
「うーん、特に分かることは無さそうだなあ」
「そうですねー。何よりこんなに人がいたんじゃ、ろくに調べられませんよ」
「だよなあ・・・」
「孝一・・・? やっぱり孝一だ!」
あきらめて帰ろうとした時、振り返った俺の前にいたのはさつきだった。
「よっ、さつき。おはようさん」
「桐山先輩、おはようございます」
「うん、おはよう・・・って、のん気に挨拶してる場合じゃないと思うけど? それに・・・」
「うん?」
「私と同じくらい、仲良くなっちゃったのねぇ~」
さつきは俺と夕紀を見て、ニヤニヤ笑っている。
まあ、部屋を出てからずっと腕を組んで歩いてるからな。
「そりゃあもう、桐山先輩 よ り も 仲良くなっちゃいましたから! ね、孝一さん!」
「お、おい?」
夕紀はさつきを挑発するようにぴったりと俺にくっついて、さらに俺を名前で呼びやがった。
お前、さっきまで先輩って言ってたじゃねーか!
「いいじゃないですかぁ。孝一さんだって私を呼び捨てにしてるんだし」
「う・・・分かったよ」
「わはーい♪」
だから必要以上にくっつくなっての!
さつきの視線が恐ろしい事になって・・・あれ、なってない?
むむ、余裕の表情で俺たちを見ているぞ。
「そう、やっと同じスタートラインに立った訳ね。正々堂々、手加減無しでいくからね!」
「・・・望む所です!」
二人は不敵な笑みを浮かべながら、互いを見つめ合っている。
ふむ、修羅場にはならないか。
さつきは正統派の武道家だし、夕紀も裏で色々画策するような性格じゃない。
もし剣道でもテニスでも同じことをやっていたなら、いいライバルになってたかもしれないな。
「それはそうと孝一さんったら、昨夜は初めての私にすっごく激しかったんですよ。合計でえ~と、六回もシテくれて・・・」
「ろ、六回!?」
天下の往来で頬を染めて何を言っている!!
俺は脱兎の如く二人を引っ張って逃げ、人気の無い路地へと入った。
「夕紀! 場所を考えろ場所を!」
「アハハ、すいません。嬉しかったんでつい・・・」
まったく・・・。嬉しそうに笑って誤魔化しやがって。怒るに怒れないじゃないか。
そして、俺の背後からは殺気混じりの鋭い視線が・・・。
「孝一・・・。本当なの? 六回もしたって・・・」
地獄の底から響いてくるような声だった。
それでいて声のトーンは静かなんだぜ? まるで殺気そのものが声になったようだ。
「本当ですよぉ~! 全部私の中にいっぱい注ぎ込んでくれたんです。もうお腹の中が熱くて壊れちゃいます~って言ってるのに、孝一さんたら更に激しく・・・」
「ええと、夕紀さん? お願いですからその辺にしておいて下さい」
全部事実だから余計にたちが悪い!
あああ、さつきの視線が更に刺さってくる。
「そう、本当なんだ・・・。私には一回だけだったのに、彼女には六回もシテあげたんだ・・・」
って、泣いてるし!?
「落ち着け! 回数で好きの度合いを決めた訳とかじゃねーから! その場の雰囲気というか、互いの体力と相談した結果と言うか・・・」
俺は懸命にさつきをなだめようとした。
両手で顔を覆って声と体を震わせてるんだから、さすがに落ち着かん。
が、俺の努力を嘲笑うかのように新たな来訪者が背後から・・・。
「六回・・・負けた」
「私たちは四回ずつだったよね。お兄ちゃん、ずるい」
ゆっくりと振り返ってみれば、そこに居たのは想像通りの双子だった。
「空那に風那! 何でこんな所に!?」
いつぞやの色違いのワンピースを着た二人が、路地の反対側からやって来ていたのだ。
「中学校も休校になっちゃったから、お兄ちゃんの所に遊びに行ったんだけど留守だったの」
「んで、これは高校の方に野次馬に行ったんだとみて、ここまで来たら声が聞こえたから」
「そ・・・そっか」
「麻生さん、六回もしたんだ、いいな~」
「えへへ・・・。でも二人も四回ずつシテもらったんだ、それも凄いね」
「気持ち良かったけど、孝一兄ちゃん、結構容赦ないよね」
「うんうん、激しいし、量も凄いし・・・」
・・・これなんて羞恥プレイ?
頼むから本人の前でセックス談義はやめてくれ。
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